2024年度の診療報酬改定(6月1日実施)。
公的保険の医療の価格を定めるもので、医療機関にとっては収入を左右します。物価高騰や賃上げのために大幅引き上げが求められていましたが、逆にマイナス改定となっています。
いざという時入院できない?
改定内容も医療費削減を狙うものとなっています。一つは発症間もない急性期に対応する病床の削減をすすめることです。看護師の配置が最も多い「7対1病床」(入院患者7人に看護師1人以上)の対象者の条件を厳しくし、平均入院日数も2日短くして「16日以内」とします。対象にならない人や16日を超えた患者は退院を迫られたり、病気の治りにくい高齢者は入院も敬遠されることになります。中小病院の2割で急性期病床が維持できなくなるとの指摘もあります。感染症の流行などに備えた体制確保というコロナ禍の教訓に逆行します。
近くの診療所が経営難に?
二つ目は、診療所を中心として報酬を引き下げることです。とくに糖尿病、高血圧、高脂血症の三つの慢性疾患の診療報酬が大幅にカットされます。こうした基礎疾患をしっかり手当てしてこそ大きな病気は防げるとしてきたものを削減します。発熱外来などコロナ感染で役割を発揮した診療所に大きな影響を与えます。「入院から在宅へ」をすすめながら在宅医療の役割を担う診療所の収入減が危惧されます。
また、欠陥だらけのマイナ保険証の普及役を医療機関にやらせようと、マイナンバー保険証の利用などを条件に、初診料に80 円の加算を新設することも問題です。
軍事費や万博など税金の使い方を改め、医療機関にも患者にも犠牲を押しつける診療報酬のマイナス改定を見直すことが必要です。