認知症と芸術療法
我が国では、寿命の延伸に伴い認知症を患う方が少なくありません。代表的な認知症の一つであるアルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドやタウという物質が溜まることが原因のひとつとされています。残念ながら、これらの物質を確実に減らす治療法はまだありません。
決定的な治療法がない認知症ですが、治療法のひとつとして芸術療法が近年注目されています。絵を描いたり楽器演奏などの表現活動によって脳を活性化し、精神を安定させることで、徘徊や不安といった認知症の症状を軽減、あるいは予防できるのではないかと期待されています。芸術療法には、以下が知られています。
1:絵画療法
自由に絵を描いてもらい、そこから言葉では表現できない内面的な問題などを読み取る。絵を描くことで、緊張やストレスを緩和する効果も期待される。
2:音楽療法
歌ったり楽器を演奏したりすることで自己を表現する。音楽を聴いてストレス緩和などを図る。
3:詩歌療法
詩を書いたり読んだりすることで感情を解き放ち、精神の安定につなげる。
絵を描くことや楽器の演奏という行為は、自然と自分の内面を表現することができます。現在行われている薬物療法との相乗効果が期待できるかも知れません。ご興味を持たれた方は、作業療法士や精神科医にご相談ください。
糖尿病・代謝内科 根本 医師