腰部脊柱管狭窄症の症状改善に向けて
(ようぶ せきちゅうかん きょうさくしょう)
歩行中にお尻や足脚にしびれや痛みが出て歩けなくなり、前かがみの姿勢でしばらく休むと再び歩けるようになるといった(※)特徴的な症状がある時、腰部脊柱管狭窄症の可能性があります。
本来、整形外科領域の疾患ですが、推定患者数は約560万人と罹患率が高く、内科でもよく見かける疾患です。背骨の中には脊柱管と呼ばれるトンネルのような空洞があって神経の束が通っています。腰部分の脊柱管が周囲の組織の変化などで狭くなると神経が圧迫され、神経をめぐる血流が悪くなり、しびれや痛みが出る、これが、腰部脊柱管狭窄症です。
腰部脊柱管を通る神経の束を
圧迫と血流障害が神経根に起こるのが神経根型で、多くは左右どちらかの症状です。この型は約7割を占め、薬物療法、運動療法などの保存療法で改善しやすく、自然に回復する例もあるのが特徴です。
馬尾全体に圧迫と血流障害が起るのが馬尾型で、こちらは両側のお尻から脚にかけて広範囲のしびれが出ます。特に問題となるのは、会陰部や肛門周囲の症状で、排尿障害が現れることもあります。この型は自然治癒が困難で、早期に手術を含めた適切な治療が必要です。
症状があり、MRIで狭窄が確認されたら診断確定です。神経根型、馬尾型共に、まずは神経血流改善作用を持つ飲み薬で治療します。保存療法として、理学療法も重要です。
内科医師 大森 京子
(※)特徴的な症状