建設現場で働いて
アスベスト被害にあわれた方やそのご遺族へ
建設アスベスト訴訟の最高裁で勝訴(2021年5月17日)した大阪アスベスト弁護団から、アスベストの基礎や最新の制度の概要などについてQ&Aの方式で紹介いたします。
Q1:アスベストとは何ですか。
岩石に含まれる繊維状の鉱物です。石綿(いしわた・せきめん)とも呼ばれています。熱に強く、昔から建材をはじめ耐火材、保温材、パッキンなど多くの製品に用いられました。
Q2:アスベストを原因とする病気とは?
中皮腫、肺がん、びまん性胸膜肥厚、石綿肺が代表的です。
吸ってから10~50年潜伏した後に突然発症することから「静かな時限爆弾」と言われます。建設現場やアスベスト工場で働いた人、工場周辺に住んだ人に多いのはもちろんですが、被害はそこにとどまりません。
例えば、映画俳優のスティーブ・マックイーン、作家の藤本義一さん、最近では秋篠宮妃のお父さんも「中皮腫」で亡くなりました。
Q3:患者や遺族のための救済制度はありますか。
従業員だった人には労災、そうでない人にも石綿救済法による補償制度があります。これらの制度では、医療費や一定の生活費といった最低限の給付が受けられます。
Q4:どうすれば認定されますか。
何よりも「アスベストが原因の病気」という診断を受けることが第一条件です。
肺がんの場合、たばこが原因と決め付けてしまいがちですが、喫煙歴があってもアスベストの影響が否定されるわけではありません。
アスベストを吸った可能性があると思う人は、医師に職歴を伝えたうえ、相談してみてください。診断を受ければ、行政に申請し、要件を満たせば認定が受けられます。申請手続や資料集めについて、弁護士がお手伝いすることもできます。
Q5:新しい救済制度が始まったというニュースを耳にしました。
最高裁は昨年5月、建設現場のアスベスト被害について国の責任を認めました。判決を受け、国は、「建設アスベスト給付金制度」をつくり、今年から運用を始めました。一人親方を含め対象者は約3万人。慰謝料という趣旨で、最大1300万円が労災等の補償とは別個に支払われます。こちらも弁護士にご相談ください。
大阪アスベスト弁護団・弁護士 西川翔大
北大阪総合法律事務所
☎06-6365-1132