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薬剤師の一口アドバイス

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オレキシン?

 

 ノーベル賞への登竜門といわれるラスカー賞、2026年の受賞者の一人が筑波大学の柳沢正史教授です。1998年に「オレキシン」という睡眠に関係する物質を新たに発見したことでの受賞でした。

 

 オレキシンは、覚醒を維持するために必要な神経伝達物質で、欠乏すると突然意識を失うナルコレプシーという病気の症状が発現すると言われています。また、新しい作用機序の睡眠薬としてオレキシンの作用を邪魔するような薬が開発され、2014年には新薬として販売が開始されています。

 

 これまでの睡眠薬は、神経を落ち着かせる方向に働くγ-アミノ酪酸(GABA)という伝達物質の作用を強くすることで入眠させる作用のものがほとんどで、連用で耐性が問題になったりしていました。これに対し、オレキシンの作用を弱くする薬は、連用しても耐性が生じにくいと言われています。発見からわずか16年で関連の薬が実用化され、実際にたくさんの患者さんに使われていることからも、世紀の大発見であったことがよく分かります。

 

 薬を使わずとも自然に眠れるのが理想ですが、ストレスや不安などで眠れない日が続くこともあります。研究が進んでそういう時に頼れる薬の種類が増えるのは、喜ばしいことではないでしょうか。

 

あおぞら薬局 薬剤師 吉田 健
(健康の友2026年11月号)